めがねさんの百合ごはん雑記

百合とごはんと日常について。

醤油ラーメン。

たまにはごはんの話をする。
今日は家ラーメン。

塩豚(肩ロース)を片手鍋で茹でながら塩抜きを兼ねて火を通し、そこに白菜入れてゆで、肉は硬くなりすぎない程度にどんぶりにうつし、細ねぎ切ったやつとともに白菜茹で上がりを待つ。スープの分のお湯と白菜を丼に落とし、醤油ダレを解く。
麺を茹でるお湯をヤカンから鍋に継ぎ足し、袋の通りに茹だるのを待つ。
いま、麺を待っているところ。茹で上がったら写真なんか撮ってる暇もなく食べないとね!

パソコンの電源ユニットが壊れました

(とてもかなしいのでSSを書きました。気が動転しているのでオチがありません)


きみが初めて私の部屋を訪れたのは、10年ほど前、父に連れられてのことだと記憶しています。恐る恐るきみに触れた私は、意外なほどずっしりした体躯にひどく驚かされたものです。
「今日からコレはお前のものだ」
父はそう言ってきみを私の部屋に置いていきました。銀色の甲冑に身を包むようにして、きみは全身を緊張感にこわばらせ、慣れぬ私の部屋を睥睨し、これ見よがしにため息をつきました。
「何をさせようというのだ、主人」
「あ、あの、自作パソコンというものを……」
私がおずおずと申しますと、きみはまた大きく、あきれ返ったようなため息を落としました。
「そりゃあそうだろう。私は電源ユニットなんだ。自作パソコン以外のものに使うわけがない。きみは阿呆なのか。もう少し勉強したまえ。何をやりたいんだ。私になにをさせたいんだ」
「ええと、その、本の組版などを……」
「あ?」
「い、いんでざいん?とかいうものを……その」
私がごにょごにょと言葉を濁しておりますと、きみは小さくかぶりをふりました。
「てっきりグラボをたんまり積んで、オンラインゲームでもするのかと思っていたがな。静止画なら私のように高品質の電源は要らないのじゃないか?」
「いえ、その、」
貰い物なのだとはなかなか言えませんでした。私はどうにか唇を湿しながら言葉を継ぎ継ぎ言いました。
「きみとは、長く付き合ってゆきたいんです。できるだけ長く」
私がそう言うと、きみはどうにか機嫌を直したようでした。ふん、と大きく息をついて、それから、はやくつなぎたまえ、と急かしました。

そうして、マザーボードやらメモリやらCPUやらHDDやら……たくさんのいろいろなデバイスが組み合わされ、一つのケースに収められました。
「い、いきますよ」
「うむ」
私はきみのうなじにそっと手をやり、ゆっくりと力を込めました。
全てにいのちが吹き込まれ、そして軽やかに系(システム)が起動した日の感動をよく覚えています。

きみは、働きはじめると機敏でした。ぶつぶつと不満を言うこともせず、静かに動いていました。
それでもごくごく稀にエアダスターで吹いてやると、驚くほどの汚れを溜め込んでいたことが分かるのでした。
「……こんなになるまで。ごめんなさい。気づいてあげられなくて」
「ふん、はやくしたまえ。きみのような臆病ものに、中を開けられるはずがないのだから外から軽く吹いてやるにもげんどがあろう」
きみはどこまでも頑なでした。いや、それは私が臆病だったからかもしれません。拙い私が不用意にきみに触れて、もしも壊してしまったら……。
いつしか、私はきみのことが好きになっていました。きみがいなくては生きていけないような気がしていました。
新しいものに交換すればいいというものではないのです。誰よりもかけがえのないあなたがいなければ、どんな言葉もむなしく、紙の上に書かれただけの薄っぺらいものになってしまうでしょう。
きみは寡黙で、秘密めいて、そして孤高のものでした。その静けさは時に安心と退屈に結びつきます。
たくさんのマザボが、メモリが、使われては壊れていきました。たぶん3世代分ぐらいは流れていったでしょう。それでもきみは壊れませんでした。きみはずっと壊れないような、そんな錯覚におちいっていました。
壊れないものはない。死なないひとはいない。
そんなこと、あるはすないのに。
いつまでも一緒にいられるような気がしていたんです。いつかの方便のように。

最初のきっかけはHDDの不調のようでした。3年半も保ったのだから寿命かもしれないと思い、バックアップとOS再インストールを試しました。それでも念のために新しいのを買って、データなどはそこへ移すつもりでいました。
そうしてガタガタといつものように中を触っている時、君は静かに一言の別れもなく息を引き取りました。
ふたをしめてスイッチを入れるまで私はそれに気づきませんでした。なにも言わず、私がなにを察することも出来ぬままに君は旅立ってしまったのです。
最後まで寡黙な君でした。本当に君が死んでしまったのか、私にはまだ信じることができません。もう一度つなぎ直せばまた傲岸不遜に動き出すのではないかと思ってやみませんそうだったらなんて素晴らしいのでしょう。
何度も何度もつないだり外したり放電させたり、いろいろなことを試しましたが君が動くことはありませんでした。
私は初めてケースから君を外しました。君の仕様が550wであることを初めて知りました。今までそんなに意識したことがなかったのです。型番から君が10年以上まえの新製品であることも分かりました。今はもうないメーカーのものであることも。
死んでしまってから分かることがたくさんあります。どれも本当は大切なことでした。
君にうまく伝えられなかった、ありがとうとごめんなさいを、私は誰に向けて言ったらいいのかわかりません。
君が生まれ変わったら、次も電源ユニットでいてください。そして同じくらい長持ちして、持ち主を驚嘆させてください。
ご冥福をお祈りします。

百合短歌5首

1
月を撮る シニアケータイ 送る先 旧き親友 名字変わらず

2
数合わせ 合コン帰りの おんなども 悪口言いて 夜も更けゆく

3
桃姫の 攫われ無力 嘆いては おんな従者(キノピオ) ひとりふて寝ん

4
同じ服 着たしと思い 背伸びして 願書書いても 試験赤点

5
好いた女(こ) の 読む本を読み 食(は)む飯(めし)を 食み いきついた 先 修羅場かな


解説という名の蛇足。
1
おばあちゃん百合良いですね。旧姓のままなので、結婚してないんですね。(あなたと見ると)月がきれいですね、とかメールで書くおばあちゃん良いですね。

2
戦果のない合コンで盛り上がってる女子って百合ですよねという話。

3
もしもスーパーマリオシリーズのキノピオが女の子だったら萌えませんか。大切なお姫さまを助けられない悔しさにふて寝するキノピオかわいい。

4
同じ服、制服ですね。男女だと同じ服にはなりませんね。好きな子の志望校レベル高すぎなんですね。アホの子かわいい。

5
同じ男が好きって百合なんだよな……という話。どうしてこうなった(AA略)ですね。

ちいちゃんの手

おねえさまが言うには、わたしの手は頭痛薬なのだということだった。
「ちいちゃん、手」
部室のパイプ椅子をいくつもつなげて、おねえさまは寝転んでいる。はしたなさを咎めるひとはここにはいない。
わたしはそろそろと畏れながら近づいて、おねえさまの額に触れる。長袖の厚ぼったい制服を着てさえ、冷え性のわたしの指はひんやりとおねえさまの額を癒す。
「ああ、気持ちいい」
おねえさまの薄い唇が安堵の息を漏らす。カーテン越しに差してくる微かな日差しの中でその色の薄い唇は銀の薔薇のようにみえる。
わたしは自分の指が、自分のものでなくて、おねえさまの一部になってしまったように感じる。わたしの意志、わたしの気持ち、そういうものとは関係なく、おねえさまを癒やし慰めるためだけのものになったように感じる。
部室の時計はあと少しで昼休みが終わることを告げていた。わたしたちが動かずにいるように、時計の針もまた動かずにいれば良いのにと思う。
「ちいちゃん、このあいだのこと、見てたでしょう」
と、おねえさまは言う。
わたしはびくりとして、指をおねえさまから離してしまう。
いつか、より深い黄昏の中で、おねえさまとあのお方が激しくお互いをいだきあい、むさぼりあっていたことの記憶を消してしまいたいと思う。
「あのことは誰にも話してはいけないわ。わかる?」
わたしはひと言も口がきけずに、小さく何度もうなづいた。
「ちいちゃん、手」
おねえさまに言われて、わたしはもう一度指を伸ばした。さらさらとした額に再び触れる。
「手、気持ち良い」
おねえさまはうっとりと言った。
あの時と同じ声音で言った。

TRUMPを見た

ホモだった(すごく雑な感想)

萌えのストライクゾーンが三次元ホモ方向には開いてないのでピンとこないところはあったけど、たぶん漫画だったら萌えてたんだろうなとは思った。絵柄って大事だなあ。

異能バトルのメモ

(例のラ!異能バトルの作成中のメモをここに書く。この前に十万字分ぐらいの長い経緯がある。)



集団の中で彼女はとりわけ美しく見えた。平素の制服姿と唯一違うところがあるとすれば腕に珍しく腕章をつけているところか。
生徒会長。その肩書きは伊達ではない。
「おはよう、絵里ちゃん」
穂乃果のひとことに周りがざわついた。
「タイマン相手の生徒会長にちゃん付けとは良い度胸してんなあ、流石は穂乃果ちゃんや」
つ、と脇から前へ出たのは希だった。咎めるような口調というよりは、どこか慈しみやからかいを含んでいる。
「あ、希ちゃん。おはよう。昨日はありがとね」
「ええよお。気にせんといて」
ひらひらと手を振る。
「それより今日はライブやんな?頑張ってな」
「うん!ありがとう」
「ま、うちの可愛い絵里ちやからほどほどにしてくれると助か……」
「希」
きつい口調で絵里は彼女の言葉を遮った。
「これは真剣勝負よ。手なんか抜かれてたまるもんですか」
「はは、絵里ちはカタイなあ。もっと楽したらええのに」
「私、まだあなたを信じたわけじゃないから。勘違いしないで」
絵里は言い捨てて穂乃果へ改めて視線を向ける。
「タイマンという話だったけど、三対三にするんですって?どういう心境か教えてくれない?」
「うん、1人だと勝てないから」
あっけらかんと穂乃果は答えた。絵里の眉がぴくりと動いた。
「そんな条件で私が飲むと思ったの?」
「うん。だって、この学校のテッペン決めるんでしょう。なら強い奴が勝ちだよね。私は仲間と一緒の方が十倍くらい本気出せる。本気モードじゃない穂乃果に勝ったって、絵里ちゃんはちっとも嬉しくないんじゃないかなって」
穂乃果はまっすぐに絵里の瞳を見据えた。その目は本気だ。
絵里もまた、まっすぐに見返す。
「それに、スクールアイドルとしてのライブを見て欲しいってどういうことなの」
「異能持ちが通う学校の、一番の使い手を決めるのがこのタイマンの目的だった。だからいま一番アツいやり方で戦うよ。A-RISEみたいにね」
穂乃果はじっと前を見る。その視線は絵里よりも遠くを見ていた。この学校を突き抜けてもっと先の、未来のことを。
「一人じゃへこたれちゃうからね。私は、自分のためじゃなくて、みんなを守るんじゃないと戦えない。この学校のみんなを守るために戦いたいんだ」
「……なるほど。ならこちらもそのごっこ遊びに付き合ってあげましょう」
鼻先で笑いながら絵里は言った。穂乃果は不満げに口先をとがらせる。
「ごっこ遊びじゃないよ、真剣なの!」
「A-RISEというのは、三人なのよね」
「うん」
「なら、放課後には完璧なコピーを見せてあげる。いかに自分たちが子供の遊びにすぎないかを思い知るがいいわ」
絵里はそう言い置いて踵を返した。すぐ後ろに希も付き従う。
「あーあ、三人目、見つけなあかんなァ。誰かおるかなー……っと」
ぼやきとともに、希は視線は目ざとく集団の中の矢澤にこを見つけ出していた。意味ありげに笑い、手を振る。
にこは手を振り返すわけもない。渋面を作って、ふんと横を向いた。
その横を通り過ぎる刹那、希は小声で何か囁いた。周りには聞こえないようなささやき。
その瞬間、矢澤にこの目は大きく見開かれた。そこに浮かんだのは絶望や諦観や恐怖ではなかった。
それは、まぎれもなく、喜びや希望。
希はうっそりと笑む。蛇のように目を細めて。
「どうやろ?」
「……やるわ」
にこは小さくうなづいて、自分の拳を小さく握りしめた。
「色々気にくわないけど、それならやってやる。あんたの思惑がどこにあるのかなんて、興味ない。にこに相応しい舞台があるならそこに乗るだけよ」
「いいやん。うちら、やっぱり仲間やんな」
希はそう言って小さくグーを作ってにこの肩を小突いた。にこは、また、ふんと小さく鼻で笑って取り合わなかった。
その目はこの食堂のどこも見ていなかった。遠くを、ここではないどこか遠くを見ていた。
「ほななあ。放課後の講堂で待ってるわ」
そう言い残して三年生たちは去っていった。