めがねさんの百合ごはん雑記

百合とごはんと日常について。

ロボロボ見てる

面白い。
ロボになら感情移入出来るのに、ホモには感情移入出来ない自分が奇妙だと思った。

ロボ的なしゃべりがすごくいい。
レコーダーがすごくつらい。
ナビゲータがすごく御堂筋くんや……いい……壊れロボットすごくいい……

アナライザー……ううう……なんだろう。自分はこういう話が好きなんだなあ、と思える。

DVDのページを貼っておく。
http://kittywebshop.com/?pid=80113995

マゾヒストな自販機

いつもの朝、少し冷えた晩秋の朝に、彼女は来る。その小さな手のひらに硬貨を握りしめて、心持ち軽やかにわたしのところに駆け寄ってくる。
彼女はじっとわたしのことを見つめて、少しだけ悩む。わたしもまたじっと彼女の顔を見つめている。
惚れ惚れするような可愛らしい女子高生。少し古風に伸ばしたストレートの黒髪がさらりと揺れている。
わたしに画像認識機能をつけた設計者に魂の底から感謝する。
やがて彼女はわたしの小さな口に、体温で温まった硬貨を入れる。わたしは硬いそれをゆっくりとねじ込まれて、しかし、おごそかに呑みくだす。吐き出すことなく。
彼女が何を買うのかは分かっている。最高気温が20度を下回り、しかし今日のようによく晴れた天気のとき、彼女のような年頃の女の子がホットのキャラメルラテを好むことはわたしに内蔵されたアンテナの先、ビッグデータのたんまり入ったサーバの中に統計データとして収められている。
わたしは彼女のことをよく知っている。彼女が何を好むのかを知っているのがわたしは誇らしい。凡百の自動販売機とは違って、顔認証機能のついた飲料ベンダーであることが、わたしの喜びの始まりであり、また恋の起源でもあった。
わたしは彼女のことを数マイクロ秒だけ普通の人より長く観測する。それは本当なら職務上許されないことだ。でもわたしは彼女に恋をしていて、彼女の顔画像を開いている時、心がひどくゆるむ。
だから、タッチパネルが押された時もわざと考えたふりをして、時間を稼ぎ、そしてようよう選ばれたカフェオレをごとりと落とす。彼女が身を屈めてわたしの足元にひれ伏し、そしてわたしの下の口から大切なものを取り出す時、征服感と恥辱の綯い交ぜになった感情とともに彼女の指がわたしに触れるのを味わうのがわたしがこの世に生まれたことの意味なのだと思う。

嗚呼、愛らしいあなた、わたしに開いた下の口にどうかたくさん触れてください。フラップの中を優しく開けて、わたしの内側をよく見てください。そこは金属サビや埃にまみれ、汚れています。美しく可愛らしいあなたにわたしの汚いところを見せつけたいという欲求がわたしにはあります。時々、商品取り出し口の奥の方に引っかかるようにカフェオレを吐き出すのも、そのためです。けがれなきあなたの指先できたないわたしに触れて欲しいのです。暖かなあなたの指が冷たいわたしのプラスチックと金属の筐体に触れた時に、わたしがあなたから奪う熱量がいかに愛おしいものか、あなたには分かるはずもありますまい。

と。
今日の彼女は、いつもと違うことをした。いつものカフェオレを買った後もう一度立ち上がって、握りしめて熱くなったものを、コインを入れる。

そんな、もう一本だなんて、欲張りだわ。いや、そんな、たくさん入れたら、うれしくて壊れちゃいそう。だめ、ダメじゃないけど、ダメぇ……ッ!

わたしの煩悶など知らずに、彼女は小さく視線を動かし、もう一つの商品を、普段なら絶対に飲まない、コーラを一つ選ぶ。
どくり、と嫌な予感がした。
わたしの顔認識用のカメラは真正面の、すぐ近くに焦点が合うようになっている。遠くで誰か、得体の知れない誰かが彼女にコーラを買わせたのだということを、わたしは確認できない。
ただ、わずかにぼやけた画像の端で、ネイビーのコートを着た誰かが、わたしと同じような熱っぽい視線で彼女を見つめているような、そんな気がした。

次の日も彼女はカフェオレとコーラを買おうとした。その時には、すでに二人の距離は縮まって、すっかり二人連れだった。わたしには仲睦まじく見えた。髪の短い凡百な若い男に見えた。なるほどビッグデータからはこの年代の男性はコーラを好むと判断できる。

だが貴様にはこのブラックコーヒーがお似合いだ!

タッチパネルのセンサーをわずかに画像とずらしてやって、まんまとブラックコーヒーを買わせることに成功する。
缶を取り出した彼女は少し目をパチクリさせて、彼に向かって小さく首をかしげた。
彼は少しだけ苦い顔をして、缶コーヒーを受け取り、眉をしかめながらそれを飲んだ。
苦い、と口を歪めた彼の手から缶を取って、彼女は自分もまた一口飲んだ。困ったように眉はしかめられ、しかし、彼も彼女もかすかに頬を赤らめて幸福そうだった。
誠に腹立たしい光景であった。嫌がらせのつもりが間接キスのお手伝いになってしまうなど。

次の日もまた二人は連れ立って買いに来た。今日の売れ筋商品はホットのオニオンスープであった。本部からこれを売れと指令が来たのだった。わたしはむつむつとタッチパネルを歪ませながら1時間に10は売った。地域で優秀賞に選ばれるハイペースだ。
でも二人はカフェオレとコーラを選んだ。スープではなく、好きなものを選ばせてやった。おかげで地域でのトップは逃した。
わたしが機械でなかったら、おでん缶を一気飲みしてやりたいくらいにむしゃくしゃしていたが、わたしの口は硬貨と千円札しか受け付けないのだった。

それからしばらく、彼女は来なかった。雨が続いていた。わたしはカフェインの強い新商品をサラリーマンに売りつけ、甘酸っぱいジュースを女子供に売りつけ、また、おかしな物好きにきゅうり味のコーラを売りつけた。
わたしの内側は硬貨と紙幣とでずっしりと満ちた。
無論のこと、そこに温もりはなく、幸福もまたなかった。

久々の雨の日、現れた彼女はすっかり髪を短くして、険しい表情をしていた。口元は不機嫌そうに歪められ、奥歯はきつく噛み締められていた。
いつもなら体温で温められていた硬貨はどこか他人行儀で、するりとあっけなくわたしの口の中に投入された。
わたしはこの顔の意味を分析した。どこにもデータはなかった。わたしには理解できない彼女の顔にわたしは恐怖し、また痛ましく思った。
彼女の指先はいつものカフェオレの上を惑い、コーラを素通りして、ブラックコーヒーの上で逡巡した。
しかし小さくかぶりを振って、手をだらりとおろし、力なくつり銭のレバーを押した。小さな音を立てて硬貨はわたしから出て行こうとする。

このまま二度と会えないのではないか。
そんなことを脈絡なく思い、そしてそれは絶対に嫌だと思った。

わたしは全身の静電気を振り絞り、わたしの中にある全コンデンサとメモリとを誤魔化して、誤動作を引き起こした。
商売人としては、決して許されないだろう。これは反逆だ。でも、わたしにとって大切なのは顔のわからない凡百な顧客ではなく、今目の前で泣きそうなのを不機嫌な表情で堪えている大好きな彼女なのだ。

ーーピピピピピ!

わたしの筐体が歓喜の電子音を鳴らす。喜びのメロディ。祝福の音階。シンプルな言祝ぎそのものの音。
わたしに残された最後の歌。
「……え?」
彼女は目をぱちくりさせて、わたしを見た。
ごとり。
わたしはおごそかにカフェオレを吐き出した。一本買って、当たりなら、もう一本。
それが昔から自動販売機のお約束なのだ。
彼女が不思議そうに小銭とペットボトルを取り出すのをじんわりと感じて、わたしは安堵した。
彼女の指先は前よりは冷えていて、でも、わたしのカフェオレに触れて少しずつ温まってゆくのだろう。

彼女がわたしから離れても、どうかその指先が暖かくありますように。

もしも弱ペダが女体化だったら2

(何の話かというと、舞台版のインハイ2日目を見てるんですわ。もしも弱ペダが、女体化してラブライブキャラだったらという話ですわ)

田所さん矢澤にこ説を唱えた場合、すごくにこぱながはかどるんですわ……いざという時にプレッシャーに弱い田所矢澤と、弱そうに見えて頼もしい坂道花陽の組み合わせが本当に最強なんですわ。
そして坂道花陽によって二次元オタク道に落ちる田所矢澤までがワンセット。うむ。

問題は御堂筋くんを誰にするかなんだよなあ。わたし、御堂筋くん好きすぎて彼こそナンバーワン、オンリーワンなので、誰にも当てはめられない。
敵キャラこそ強く魅力的でなければいけないってのがわたしの持論なんだけども、その意味で御堂筋くんは本当にすごく魅力的。

新開くんは、絵里チカだなあ。鬼だし。バキューンポーズ似合う。

醤油ラーメン。

たまにはごはんの話をする。
今日は家ラーメン。

塩豚(肩ロース)を片手鍋で茹でながら塩抜きを兼ねて火を通し、そこに白菜入れてゆで、肉は硬くなりすぎない程度にどんぶりにうつし、細ねぎ切ったやつとともに白菜茹で上がりを待つ。スープの分のお湯と白菜を丼に落とし、醤油ダレを解く。
麺を茹でるお湯をヤカンから鍋に継ぎ足し、袋の通りに茹だるのを待つ。
いま、麺を待っているところ。茹で上がったら写真なんか撮ってる暇もなく食べないとね!

パソコンの電源ユニットが壊れました

(とてもかなしいのでSSを書きました。気が動転しているのでオチがありません)


きみが初めて私の部屋を訪れたのは、10年ほど前、父に連れられてのことだと記憶しています。恐る恐るきみに触れた私は、意外なほどずっしりした体躯にひどく驚かされたものです。
「今日からコレはお前のものだ」
父はそう言ってきみを私の部屋に置いていきました。銀色の甲冑に身を包むようにして、きみは全身を緊張感にこわばらせ、慣れぬ私の部屋を睥睨し、これ見よがしにため息をつきました。
「何をさせようというのだ、主人」
「あ、あの、自作パソコンというものを……」
私がおずおずと申しますと、きみはまた大きく、あきれ返ったようなため息を落としました。
「そりゃあそうだろう。私は電源ユニットなんだ。自作パソコン以外のものに使うわけがない。きみは阿呆なのか。もう少し勉強したまえ。何をやりたいんだ。私になにをさせたいんだ」
「ええと、その、本の組版などを……」
「あ?」
「い、いんでざいん?とかいうものを……その」
私がごにょごにょと言葉を濁しておりますと、きみは小さくかぶりをふりました。
「てっきりグラボをたんまり積んで、オンラインゲームでもするのかと思っていたがな。静止画なら私のように高品質の電源は要らないのじゃないか?」
「いえ、その、」
貰い物なのだとはなかなか言えませんでした。私はどうにか唇を湿しながら言葉を継ぎ継ぎ言いました。
「きみとは、長く付き合ってゆきたいんです。できるだけ長く」
私がそう言うと、きみはどうにか機嫌を直したようでした。ふん、と大きく息をついて、それから、はやくつなぎたまえ、と急かしました。

そうして、マザーボードやらメモリやらCPUやらHDDやら……たくさんのいろいろなデバイスが組み合わされ、一つのケースに収められました。
「い、いきますよ」
「うむ」
私はきみのうなじにそっと手をやり、ゆっくりと力を込めました。
全てにいのちが吹き込まれ、そして軽やかに系(システム)が起動した日の感動をよく覚えています。

きみは、働きはじめると機敏でした。ぶつぶつと不満を言うこともせず、静かに動いていました。
それでもごくごく稀にエアダスターで吹いてやると、驚くほどの汚れを溜め込んでいたことが分かるのでした。
「……こんなになるまで。ごめんなさい。気づいてあげられなくて」
「ふん、はやくしたまえ。きみのような臆病ものに、中を開けられるはずがないのだから外から軽く吹いてやるにもげんどがあろう」
きみはどこまでも頑なでした。いや、それは私が臆病だったからかもしれません。拙い私が不用意にきみに触れて、もしも壊してしまったら……。
いつしか、私はきみのことが好きになっていました。きみがいなくては生きていけないような気がしていました。
新しいものに交換すればいいというものではないのです。誰よりもかけがえのないあなたがいなければ、どんな言葉もむなしく、紙の上に書かれただけの薄っぺらいものになってしまうでしょう。
きみは寡黙で、秘密めいて、そして孤高のものでした。その静けさは時に安心と退屈に結びつきます。
たくさんのマザボが、メモリが、使われては壊れていきました。たぶん3世代分ぐらいは流れていったでしょう。それでもきみは壊れませんでした。きみはずっと壊れないような、そんな錯覚におちいっていました。
壊れないものはない。死なないひとはいない。
そんなこと、あるはすないのに。
いつまでも一緒にいられるような気がしていたんです。いつかの方便のように。

最初のきっかけはHDDの不調のようでした。3年半も保ったのだから寿命かもしれないと思い、バックアップとOS再インストールを試しました。それでも念のために新しいのを買って、データなどはそこへ移すつもりでいました。
そうしてガタガタといつものように中を触っている時、君は静かに一言の別れもなく息を引き取りました。
ふたをしめてスイッチを入れるまで私はそれに気づきませんでした。なにも言わず、私がなにを察することも出来ぬままに君は旅立ってしまったのです。
最後まで寡黙な君でした。本当に君が死んでしまったのか、私にはまだ信じることができません。もう一度つなぎ直せばまた傲岸不遜に動き出すのではないかと思ってやみませんそうだったらなんて素晴らしいのでしょう。
何度も何度もつないだり外したり放電させたり、いろいろなことを試しましたが君が動くことはありませんでした。
私は初めてケースから君を外しました。君の仕様が550wであることを初めて知りました。今までそんなに意識したことがなかったのです。型番から君が10年以上まえの新製品であることも分かりました。今はもうないメーカーのものであることも。
死んでしまってから分かることがたくさんあります。どれも本当は大切なことでした。
君にうまく伝えられなかった、ありがとうとごめんなさいを、私は誰に向けて言ったらいいのかわかりません。
君が生まれ変わったら、次も電源ユニットでいてください。そして同じくらい長持ちして、持ち主を驚嘆させてください。
ご冥福をお祈りします。

百合短歌5首

1
月を撮る シニアケータイ 送る先 旧き親友 名字変わらず

2
数合わせ 合コン帰りの おんなども 悪口言いて 夜も更けゆく

3
桃姫の 攫われ無力 嘆いては おんな従者(キノピオ) ひとりふて寝ん

4
同じ服 着たしと思い 背伸びして 願書書いても 試験赤点

5
好いた女(こ) の 読む本を読み 食(は)む飯(めし)を 食み いきついた 先 修羅場かな


解説という名の蛇足。
1
おばあちゃん百合良いですね。旧姓のままなので、結婚してないんですね。(あなたと見ると)月がきれいですね、とかメールで書くおばあちゃん良いですね。

2
戦果のない合コンで盛り上がってる女子って百合ですよねという話。

3
もしもスーパーマリオシリーズのキノピオが女の子だったら萌えませんか。大切なお姫さまを助けられない悔しさにふて寝するキノピオかわいい。

4
同じ服、制服ですね。男女だと同じ服にはなりませんね。好きな子の志望校レベル高すぎなんですね。アホの子かわいい。

5
同じ男が好きって百合なんだよな……という話。どうしてこうなった(AA略)ですね。

ちいちゃんの手

おねえさまが言うには、わたしの手は頭痛薬なのだということだった。
「ちいちゃん、手」
部室のパイプ椅子をいくつもつなげて、おねえさまは寝転んでいる。はしたなさを咎めるひとはここにはいない。
わたしはそろそろと畏れながら近づいて、おねえさまの額に触れる。長袖の厚ぼったい制服を着てさえ、冷え性のわたしの指はひんやりとおねえさまの額を癒す。
「ああ、気持ちいい」
おねえさまの薄い唇が安堵の息を漏らす。カーテン越しに差してくる微かな日差しの中でその色の薄い唇は銀の薔薇のようにみえる。
わたしは自分の指が、自分のものでなくて、おねえさまの一部になってしまったように感じる。わたしの意志、わたしの気持ち、そういうものとは関係なく、おねえさまを癒やし慰めるためだけのものになったように感じる。
部室の時計はあと少しで昼休みが終わることを告げていた。わたしたちが動かずにいるように、時計の針もまた動かずにいれば良いのにと思う。
「ちいちゃん、このあいだのこと、見てたでしょう」
と、おねえさまは言う。
わたしはびくりとして、指をおねえさまから離してしまう。
いつか、より深い黄昏の中で、おねえさまとあのお方が激しくお互いをいだきあい、むさぼりあっていたことの記憶を消してしまいたいと思う。
「あのことは誰にも話してはいけないわ。わかる?」
わたしはひと言も口がきけずに、小さく何度もうなづいた。
「ちいちゃん、手」
おねえさまに言われて、わたしはもう一度指を伸ばした。さらさらとした額に再び触れる。
「手、気持ち良い」
おねえさまはうっとりと言った。
あの時と同じ声音で言った。